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  • 04
  • 2019
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チューリッヒ再発見!活気に満ちたイノベーションの交差点

今回、イノベーションにフォーカスしたイベントに参加するため、9月1日から3日までチューリッヒを訪れ、現地のアクセラレーターとインキュベーターの状況をチェックして来ました。

チューリッヒには、ロンドンのグローバル・イノベーションのヘビー級のステータスや、ベルリンの若々しいフレッシュさはないかもしれません。しかしながら、フィンテックやインシュアテック、ヘルスケアの分野では、間違いなく新テクノロジーの注目のホットスポットです。チューリッヒは、最先端のテクノロジーやコラボレーションパートナーを探すのに適した都市でありながら、多くの日本企業が見落としている場所です。

国外に開かれた視線

西ヨーロッパの中心に位置する多言語国家であるスイスは、EU加盟国ではありませんが、バンキングや金融業界における強み、伝統的な正確さと高品質を追求する高いスキルの労働力によって、その経済を発展させています。

スイス・リー、UBS、クレディ・スイスといった巨大金融企業はすべてスイス出身であり、食品飲料関連のネスレやエンジニアリング大手ABBも同様です。現在これらの企業の多くは、地元のイノベーション推進プログラムを運営または支援しています。スイスの企業は、国内マーケットが比較的小さいがために、長い間国外向きの視線を取らざるを得ませんでした。これはコラボレーションを試みる外国企業にとっては、1つのアドバンテージとも言えます。

ハイテクエコシステム

チューリッヒはスイス最大の都市であり、ヨーロッパで最も住みやすい街として度々取り上げられています。(理由の1つはもちろん、チョコレートショップが豊富にあること!)

イノベーションに関しては、整備されたインフラとハイテクエコシステムのおかげで、チューリッヒはクオリティの高いスタートアップが活躍する場としてヨーロッパでの評判が高まっています。その一例が、チューリッヒ工科大学(ETH Zurich)で、ヨーロッパ大陸で最高ランクの工科大学として、強力なスピンオフの伝統を誇っています。同校のイノベーション&アントレプレナーシップ・ラボ(ieLab)は、コーチングやネットワーク、オフィススペース、ワークショップを通じて、ディープテックのスタートアップの商業化をサポートしています。

チューリッヒには、マウンテンビュー以外でのGoogle最大のエンジニアリングオフィスがあります。IBMチューリッヒ研究所からは2つのノーベル賞が生まれた上、ディズニーもヨーロッパで唯一のリサーチセンターを設立しています。またビットコインとブロックチェーンのスタートアップが多数集結するエリアは、「クリプトバレー」と呼ばれ世界的に注目を集めています。

活発なイノベーションシーン

このような技術の血脈と活発なイノベーションシーンを備えたチューリッヒは、スタートアップやスケールアップ企業のスカウティングにおいて、間違いなく注目すべき場所です。(美味しいチョコレートに目がない人も!)

わたしが訪れた9月初旬には、チューリッヒ中央駅でスイスのデジタル化のイベント、デジタルデイ(Digitaltag)が開催されていました。イベントを主催するdigitalswitzerlandは、UBS、スイスコム、SBB、スイスポスト、Ernst & Young、Google、Migros、Ringier、ETHによって設立されたイノベーションエージェンシーで、スイス最大のアクセラレーター VentureKickを運営しています。イベントでは、スマートシティ、ヘルスケア、ペイメント分野に渡るデジタル化ソリューションに焦点が当てられ、ライブピッチコンテストを一般公開していました。

この種のイベントは、政府や企業が支援するイベントと同様に、もはやチューリッヒのテック業界の一般行事となっています。ますます盛んになっていくチューリッヒのテック・イノベーションのネットワーキングは、KraftwerkImpact Hub Zurich等の大規模なイノベーションスペースによって推進されています。どちらも高評価の地元のスタートアップや、Business Angels Switzerlandなどの個人投資家であふれかえっている状況です。

アクセラレーターのホットスポット

チューリッヒは、急速にアクセラレーターとインキュベーターのホットスポットになっています。 Startup Heatmap Europeによれば、チューリッヒはヨーロッパのトップ20のイノベーションハブの1つであり、街には数十ものスタートアップ育成施設を抱えています。施設や政府による、InnoSuisseなどの発展途上のスケールアップへの支援に加え、地元の教育機関からスピンアウト企業を生み出す力強いカルチャーもあります。こうしたスタートアップは、シード前に行政と民間からサポートと投資を受け取っています。

旅行中に、プレ・シードに特化したインキュベーターのF10BlueLionを訪れました。BlueLionは、イノベーション全般をターゲットに置いていますが、ポートフォリオの企業のほとんどは、フィンテック、ヘルスケア、ロボティクス関連分野に属しています。

BlueLionのプログラム出身の成功したスタートアップには、金融サービスプラットフォームのVestrや、チャレンジャーバンクのようなバンキングアプリを手がけるNeon Bankが含まれています。多くの分野の中でも、金融サービスにおけるスイスの専門知識が、起業家コミュニティに浸透していると言えるでしょう。

未開発のリソース

大半の人からチューリッヒおよびスイスは、ロンドンやベルリン、パリよりも優先度の低い場所と見られています。しかし、そのほとんどは「未開発のリソース」であり、非常に活発なイノベーションシーン、国際的なコラボレーションへの強い意欲、優れた英語力、トップレベルのインフラ、地元や国家からの強力な支援などにより、成功しているスイスのスタートアップの数は引き続き大幅に増加しています。

わたしの見る限り、この傾向は今後も数年続く可能性が高く、多くの日本企業にとって、オープンイノベーションのパートナーを探すための最適な場所になると思います。

弊社Intralinkでは、スイスのスタートアップ、インキュベーターやアクセラレーター、その他のイノベーション機関とネットワークを構築しています。ご興味のある企業様には、チューリッヒを中心としたスイスのイノベーションエコシステムをご案内させていただきますので、どうぞお声がけください。

著者について

ジェームズ・フランシス(James Francis)はロンドンに拠点にて、Intralinkオープンイノベーショングループのプログラムディレクターを務め、日本企業のオープンイノベーションチームに、テクノロジースカウティングと共に新しいビジネス創出を提供しています。