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  • 2022
  • EUROPE PICK OF THE WEEK

欧州イノベーションインサイト:第118回

『欧州、ディープテックの中心地へ、更なる強化策発表』『第一生命HD、団体保険代理店・Well-being事業の英YuLifeへ出資』『南欧VCエコシステムの最新動向に関するレポート』『仏Ganymed Robotics、次世代手術ロボット開発へ』を取り上げた「欧州イノベーションインサイト:第118回」をお届けします。

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このニュースレターでは、日本企業のグローバル展開、新規事業開拓に役立つ欧州の最新イノベーション、エコシステム、テクノロジー情報を、毎週ピックアップして現地から配信しています。

 

欧州、ディープテックの中心地へ、更なる強化策発表

欧州委員会が今週発表した「New European Innovation Agenda 」では、欧州内でのディープテックイノベーション及び投資を促進することを目的に、域内でのイノベーションバレーの創出、スタートアップの資金へのアクセス改善、さらに100万人のディープテックイノベーター育成などが掲げられている。この取り組みは、ここ数年での拡大がめざましいEUのイノベーション支援計画の一環で、欧州委は昨年にも「Horizon Europe」の下で、スタートアップやイノベーションプロジェクトに直接資金を提供する投資機関として、100億ユーロ規模の「European Innovation Council」を正式に設立したばかりだ。また今回のアジェンダ発表により、欧州議会内のKnowledge4Innovation(K4I)フォーラムが提唱しているEuropean Innovation AreaEIA:欧州イノベーション領域)発足へ道を開いたことになる。先月ブリュッセルにて初のサミットを開催したEIAは、ディープテックの機会開拓やグリーントランジション促進など、欧州全体でその枠組みを確立するべく、8つのマニフェストとともに汎欧州エコシステム構築を目指すとしている。

 

第一生命HD、団体保険代理店・Well-being事業の英YuLifeへ出資

第一生命ホールディングスは先週、デジタル技術を強みにオンライン団体保険代理店・Well-being 事業を展開するYuLife Holdings Ltd.  に約122億円を出資したと発表した。2016年にロンドンに設立されたYuLifeは、独自のWell-being アプリの開発・提供を通じて、最新の行動科学・ゲーミフィケーションを活用して健康に対する行動変容を促進する、さらにその取り組みの見返りとして各種特典 (リワード)を受け取ることができる仕組みを組み込むことで、団体保険本来の保障機能だけでなく、加入者の継続的な健康増進活動をサポートする団体保険商品・サービスを提供している。第一生命HDは今回の出資により、YuLife 社の先進的なビジネスモデルやノウハウを活用し、新たな生命保険商品・サービスの開発をはじめ、国内外グループ各社の団体保険事業や健康・医療分野の既存事業の高度化に取り組んでいく予定だ。

 

南欧VCエコシステムの最新動向に関するレポート

南欧エコシステムは、イギリスやドイツなどの西欧大国の影に隠れがちではあるものの、近年は特にスペインやイタリアといった国々が、エコシステムを順調に築き上げている。PitchBookによると、南欧スタートアップは今年上半期だけで、400件以上のディール数と合計30億ユーロの資金を獲得し、VC資金調達の面では昨年と同様のペースを維持している。しかし、同地域のVC活動は依然として一極集中型で、上半期にはイタリアとスペインが調達資金の80%、ディール数の87.7%を占める結果となった。一方、ギリシャやマルタといった比較的知名度の低いエコシステムも特に今年は好調で、特にギリシャでは既に昨年の資金調達総額を上回っている。南欧を代表的なユニコーンには、ソフトバンクの投資を受けたスペインのオンライン人材派遣市場Jobandtalent、ギリシャのネオバンクVivawallet、またイタリアの決済プラットフォームScalapayなどが挙げられる。こういった広範囲での活動量増加を見ると、VCがより幅広い地域で有望なテック企業を探索している様子がうかがえる。

仏Ganymed Robotics、次世代手術ロボット開発へ

社会の高齢化と長寿化の進展により、今後、変形性関節症により手術を必要とする人々が増加すると予測されている。しかし、今日の整形外科手術の多くがテクノロジーによる技術的なサポートなしで行われているため、手術の結果が患者にとって不本意なものとなることが多々ある。そんな中、パリに拠点を置くGanymed Robotics社は、整形外科医向けのコンピュータービジョンソフトウェアとロボット工学技術を開発しながらこの問題の解決を目指している。同社は、シリーズBラウンドで2,100万ユーロの資金調達に成功したばかりで、現在は、手術の精度向上や簡素化を実現する人口膝関節全置換術(TKA)用の共同操作型手術ロボットアシスタントを最初の製品として開発している。なお、今回調達した資金は、国内及び米国市場への拡大、製品パイプラインのさらなる開発、またTKA用手術ロボットの商業化にあてるという。

 

植木 このみ

Open Innovation Group, Intralink Limited

 

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