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欧州イノベーションインサイト: 第34回

『「世界人材競争力ランキング」の最新版が発表』、『出光興産、欧州でのオープンイノベーションを推進』、『ロンドン、インパクトテックへのVC投資が5年間で280%増』、『英ケンブリッジで活躍する最新テクノロジー』を取り上げた「欧州イノベーションインサイト:第34回」をお届けします。

このニュースレターでは、日本企業のグローバル展開、新規事業開拓に役立つ欧州の最新イノベーション、エコシステム、テクノロジー情報を、毎週ピックアップして現地から配信しています。

 

『世界人材競争力ランキング』の最新版が発表

2014年から毎年恒例となっている『IMD World Talent Ranking 2020』が公開され、優れた教育システムや、高い生活の質と報酬で引き付けた国外人材の活用度などが評価されたスイスが、4年連続で総合ランキング首位を獲得した。また2位にデンマーク(前年同位)、3位には投資開発環境の著しい改善により、5年前の11位からランクアップを続けるルクセンブルグ(前年5位)がランクインし、欧州諸国がトップ3を独占した。さらに以下10位までもアイスランド、スウェーデン、オーストリアが続き、カナダとシンガポールを除く上位8ヵ国を欧州が占める結果となった。一方、英国はブレグジットに関する不透明性により23位に留まった。なお、日本も言語能力や経営陣の国際経験などの項目でほぼ最下位となり、総合評価でも38位(前年35位)となった。同ランキングは、労働環境への投資と開発、国内外の人材を引きつける魅力、人材のスキルと能力の質の3つの側面を分析・評価し、63の中高所得国における人材の競争力を指標化している。

 

出光興産、欧州でのオープンイノベーションを推進

今週、グローバルなオープンイノベーション加速を実現するため、出光興産がスイスのEmerald Technology Venturesが運営するファンドへの出資、及び欧州におけるオープンイノベーション推進拠点の設置を発表した。これにより、海外企業とのコラボレーションによる次世代事業の早期創出と、温室効果ガス削減に関する技術開発に向けた取り組み強化を目指す。Emeraldは、エネルギー、産業IT、新素材などの領域でクリーンテックを中心に社会課題解決に取り組むスタートアップに出資しており、出光は同社への出資とパートナー提携を通して彼らが有する技術と市場への洞察力、またポートフォリオ企業が持つ最先端技術へのアクセスにより、環境変化に対して柔軟かつ強靭に対応できる事業構築を図るという。Emeraldは2000年に設立以降、5つのファンドを介して70社以上の企業に出資を重ね、2018年にナブテスコのCVCと結んだ戦略的パートナーシップをはじめ、MicrosoftやHenkelなど複数の多国籍企業のオープンイノベーションパートナーとして活躍している。

 

ロンドン、インパクトテックへのVC投資が5年間で280%増

国連の17の持続可能な開発目標(SDG)に関連するテックソリューション、通称「インパクトテック」へのVC投資額で、ロンドンが米サンフランシスコとともに世界有数の拠点となっていることが明らかになった。気候危機や社会的不平等といった差し迫った課題に対するインパクトテックへの投資が、2015年から2020年にかけて世界でも280%ほど増加する中、2006年以降、240社以上のインパクト・スタートアップを輩出してきたロンドンに限った伸び率も800%(7.8倍)と、欧州平均の3.1倍を大きく上回っている。この中で『インパクトユニコーン』として、Octopus Energy(グリーンエネルギー)、Arrival(ゼロ・エミッション、公共交通機関車)、Gousto(食品)、Babylon Health(AIヘルステック)などが挙げられている。気候変動とクリーンエネルギーのソリューションは、過去5年間でVC投資全体の50%以上を占めており、同トレンドは今後数年にわたって続く可能性が高いことを示していると言える。

 

英ケンブリッジで活躍する最新テクノロジー

ケンブリッジで開発される最新技術に焦点を置いた2020 Cambridge Enterprise Postdoc Business Plan Competitionにて、糖尿病の自己管理用に糖質反応性スマートポリマーや高度なホログラフィー、またAI対応スマートフォン技術を組み合わせたプラットフォームを提供するGlycoVueが優勝した。さらに乗用車、商用トラック、都市部の列車に適用可能な低コストのヘッドアップディスプレイ(HUD)技術を発明したREAVIS、セルロースベースの白色顔料を塗装業界に供給し、医薬品市場やプラスチックの代替品への展開を目指すImpossible Materialsが大きな注目を集めた。一方、ケンブリッジが強みとするライフサイエンス・メドテックにおいては、瘢痕組織の形成を防ぐために使用できる新しい生分解性コラーゲン膜を製造するプラットフォームのCamadhere、がんや自己免疫疾患などの治療において腫瘍の微小環境を標的とした治療法を開発するStroma Biosciences、既存の検出器よりも低線量、高速、高分解能のハロゲン化物ペロブスカイトをベースにしたX線検出器開発のCambridge Detectorsなど、まだ企業規模が小さいものの、今後社会に大きな影響をもたらすと期待されるテクノロジーが紹介された。

 

 

植木このみ

Open Innovation Group, Intralink Limited

 

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