• Aug.
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  • 05
  • 2021
  • EUROPE PICK OF THE WEEK

欧州イノベーションインサイト: 第70回

『ブロックチェーンが欧州でホットな理由』、『ハイパースペクトルセンシングのSpectricityが資金調達』、『エーザイとナブテスコが欧州テック企業へ出資』、『CCUSのCarbon Cleanが、追加資金調達に成功』を取り上げた「欧州イノベーションインサイト:第70回」をお届けします。

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このニュースレターでは、日本企業のグローバル展開、新規事業開拓に役立つ欧州の最新イノベーション、エコシステム、テクノロジー情報を、毎週ピックアップして現地から配信しています。

 

ブロックチェーンが欧州でホットな理由

EU自体が分散化されたコミュニティであることもあり、欧州委はマルチレベルで分散型ガバナンスを可能にするブロックチェーンの広範囲における将来的な可能性に期待しているという。実際に、2018年よりブロックチェーンを基盤として域内全域に及ぶ公共サービスのインフラとして開発が進むEuropean Blockchain Services Infrastructureにも、公証、教育資格、ID、安全なデータ共有のためのアプリケーションが存在する。また今週に欧州投資基金が、同組織初となるデジタル資産及びブロックチェーン関連ファンドへの投資となる3000万ドルの出資をルクセンブルク発VCのFabric Venturesに行ったばかりだ。さらにDealroomのレポートによると、欧州ブロックチェーン企業への投資も今年前半だけで昨年の5倍となる15億ユーロに達している。現在はその多くがフィンテック関連に注ぎ込まれているものの、今後はエンタープライズソフトウェア、ゲーミング、セキュリティ、インパクトテックなどにおけるさらなるブロックチェーン活用が見込まれている。

 

ハイパースペクトルセンシングのSpectricityが資金調達

モバイルデバイス向けのハイパースペクトルセンシング技術を開発するSpectricityが、複数の米中投資家などから1400万ユーロの資金調達に成功した。半導体を中心にR&Dを手掛ける研究組織であるIMECからのスピンオフとして2018年に設立されたSpectricityの特許取得済み技術は、スマートフォンやウェアラブルデバイスに適合するほど小型で、低電力のセンサー・イメージソリューションを実現できる数少ないテクノロジーとして知られている。また人間の目では見えない現象を可視化することができるこの技術は、センサーにより心拍数、血液中の酸素量、皮膚の水分量などを測定する上、ハイパースペクトルイメージャを使用することで化粧品の肌色への適性や食品の鮮度を判断することができるため、ヘルスケア、バイオメディカル、食品・農業など幅広いアプリケーションが想定されている。

 

エーザイとナブテスコが欧州テック企業へ出資

製薬大手エーザイの戦略的投資子会社であるEisai Innovationは、7月にスイス発Altoidaに出資を行なった。Altoidaの技術は、ユーザーがデジタルデータやARをモバイルデバイス上で操作し、診断に必要となるデジタルバイオマーカーを収集、AIにより分析することで、アルツハイマーなどの神経変性疾患を特定する。エーザイは今後、アルツハイマー型認知症の早期発見に向けたソリューション開発促進のため、Altoidaとともに研究を続けていく予定。一方、機械メーカーのナブテスコは、2018年に設立されたCVCを通して、AI による船舶最適航路選定・状態監視ソリューションを開発するDeep Sea Technologiesに出資した。ギリシャ発Deep Seaが開発する技術により、脱炭素化とデジタル化の2つの課題と機会に直面する海運業界において、データ主導の意思決定が可能となる。ナブテスコはこの出資を機に、自社の舶用エンジン遠隔制御システムとDeep SeaのAI技術により、海運におけるデジタルトランスフォーメーションを推進するという。

Read More: Eisai/ Altoida, Nabtesco/ Deep Sea

 

CCUSのCarbon Cleanが、追加資金調達に成功

二酸化炭素回収・分離技術ソリューションプロバイダーのロンドン発Carbon Cleanが、800万ドルの追加資金を調達した。Carbon Cleanの特許技術は、主にセメント、鉄鋼、製油所、廃棄物からのエネルギーなど、炭素を排出する重工業に焦点を当てており、既存の技術と比較しても、費用対効果と環境効率が高いとされている。このソリューションは、既に英国、米国、ドイツ、ノルウェー、オランダなどで実証されている上、現在はインドにある世界最大の工業規模炭素回収および利用プラントで使用されている。Carbon Cleanは、過去に何度か英国政府からの支援を受けてきた上、World Economic Forumの「テクノロジーパイオニア」賞を受賞した経緯も持つ。なお、同社のラウンドにはノルウェーの石油・ガス大手EquinorのCVCや、 などが参加し、同社の調達総額は、今回シリーズBが完了した時点で6000万ドルとなった。

 

植木 このみ

Open Innovation Group, Intralink Limited

 

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